伊豆石文化の危機

最後の凝灰岩系伊豆石

日本全国では様々な石材がブランドとして扱われており、宇都宮市では観光資源として大谷石を使用するなど活用が進んでいます。数年前まで、伊豆若草石は凝灰岩系の伊豆石の中で唯一稼働している最後の石切り場として伊豆半島の温泉地の敷石や、民家の装飾用貼り石として流通していました。静岡県静岡市のグランシップにある舞台劇場では、野外劇場部分に大量の伊豆若草石を採用しました。伊豆若草石は、静岡県の地域産業資源にも認定されるほど重要な石材でした。しかし、最後の丁場が事故のために閉鎖されたのち復興のめどが立っておらず、伊豆石文化は人知れず滅びようとしています。このままでは、静岡県の地域産業資源に登録されている伊豆石の産業が途絶え温泉街にも影響が出てくるでしょう。

解体される石造建築物

伊豆半島やその周辺の石造建築物は、その特徴的ないでたちからカフェや店舗などに利用されるなどわずかな活用事例がある一方で、メンテナンスが難しく、老朽化から解体されるものが後を絶ちません。当会の会員の中にも、先祖から受け継いだ石蔵を泣く泣く解体し後悔しているという方もいます。このままでは、本当に伊豆石の文化がなかったことになってしまいます。

宇都宮市では限りある貴重な石材を、解体される建物からストックして再利用するなどの取り組みも行われています。もし皆様の身近でこのようなご相談ください。私たちの活動が、伊豆石文化の復興に繋がっていくことを願っています。 

執筆者:剣持