伊豆石コラム第

日本外交の最前線と伊豆石

迎賓館赤坂離宮は、片山東熊の総指揮で明治42年に東宮御所として建設された、日本では唯一のネオ・バロック様式による宮殿建築物です。 日本のベルサイユ宮殿という呼び方も聞かれます。 

これまで多くの国王、大統領、首相などをお迎えしたほか、主要国首脳会議などの国際会議の場としても使用されています。 この建物には外壁には、白丁場石という相州西部の伊豆石(堅石)が大々的に使用されました。

四種類の大広間の名前は彩鸞の間、花鳥の間、朝日の間、そして羽衣の間。伊豆半島からほど近い清水港は、富士山とともに世界遺産に登録された三保半島の「羽衣の松」が有名です。羽衣の間は、この三保の松原を舞台にした謡曲「羽衣」の一節「虚空に花ふり音楽聞え、霊香四方に薫ず」を、フランスの画家が描いた空間で、音楽を司る空間として、オーケストラボックスも配置されています。天井を見上げるとまさに伝説の一場面に入り込んだようです。 (迎賓館内部:https://www.geihinkan.go.jp/akasaka/hagoromo_no_ma/

 広間の無料ガイドさんが何度も、「今の人は意匠に意味を感じる心が無くなって来ているけれど、こういう建物には全て(細部まで)意味を持って造られているんだよ」と説明していたのが印象的でした。 現在も日本外交の最前線ですが、行事のない時は一般にも解放されており(内部は撮影不可)、アフタヌーンティーなども楽しめます。